こんにちは。とおやま犬猫病院の院長、遠山伸夫です。
気温が低くなってきて、トイレが近くなる頻尿の猫ちゃんの来院が増えてきました。
この冷え込む時期に比較的多くなる猫ちゃんのおしっこの病気について、
以前も書いたブログをベースにして、今回のブログを進めていきます。
もし、あなたの猫ちゃんがトイレに何回も行き、
おしっこの態勢を何度もする様子があった場合は、要注意です。
このようなトイレに何度も行く「頻尿」がある場合、
まず考えなければいけないおしっこの病気は2つあります。
それは、膀胱炎(膀胱の炎症)と尿道閉塞(尿道のつまり)です。
どちらも猫ちゃんにとってつらい病気ですが、
特に後者の尿道閉塞はそのまま放置すると、あなたの猫ちゃんが死んでしまう恐ろしい病気です。
ここで、お家でわかる膀胱炎と尿道閉塞の症状について、具体的に説明していきます。
まず、膀胱炎です。
膀胱炎が生じると、おしっこが溜まっていないのに尿意を催し、何度もトイレに行き、少量のおしっこを頻回します。
また、おしっこする時に痛みを伴って鳴きながらしたり、トイレ以外の場所でおしっこをしてしまったりします。
次に、尿道閉塞です。
尿道閉塞という尿道のつまりの時にはどんな症状が出るのでしょうか?
おしっこの通り道が結石などによってつまってしまい、おしっこが溜まって出したいのに出せない状態となり、何度もトイレに行きおしっこの態勢をとります。
また、痛みから鳴きながらおしっこの態勢をとったり、トイレ以外でおしっこをしようとすることもあります。
上記の膀胱炎と尿道閉塞の説明を読むと、症状がかなり似ていると思いませんか?
そして、一方の尿道閉塞はあなたの猫ちゃんの命を脅かすかもしれない。
確実にこの2つのおしっこの病気を区別しなければいけないですね。
では実際に、どのように膀胱炎と尿道閉塞をどのように区別すればいいか?
感の鋭い方は、おしっこが出ているかどうかで区別すればいいのでは、と思いついたかもしれません。
このアイデアはとても素晴らしく、理にかなっています。
しかしながら、おしっこの出ているかどうかによる区別が難しい場合があり、非常に注意が必要です。
というのも、膀胱炎の猫ちゃんでもごく少量のおしっこしか出ておらず、あなたの目で見て気付かない時があります。
また、トイレ以外の場所でおしっこをしている場合は、少量のおしっこに気付かない場合も考えられます。
更に尿道閉塞の猫ちゃんでも困ったことに、
完全におしっこの通り道がつまっていなければ(つまり、不完全な閉塞であった場合)、
少量のおしっこが出ることがあるため、膀胱炎との区別がつかなくなってしまいます。
では、一体全体どうしたらいいのか?
トイレに何度も行き、おしっこが出づらそうな症状が認められたら、すぐに当院へ電話して頂き、来院してください。
過去に膀胱炎になったことがあるから、今回もそうだろうと安易に様子を見ていると、尿道閉塞となっていて急性に食欲がなくなり、何回も吐いたりぐったりするなど、急変し亡くなってしまう場合もあります。
当院へ受診して頂ければ、最初に飼い主さんにしっかりと問診をさせて頂きます。
膀胱炎と尿道閉塞の区別は、いくつかの検査を組み合わせて行います。
区別のポイントは、膀胱内におしっこがたくさん溜まっているかどうかです。
一番最初に行う検査は、身体検査です。
猫ちゃんのお腹を優しくかつ丁寧に触診し、おしっこで膀胱が大きく膨らんでいるか、はたまたおしっこが少なく膀胱が小さいままかチェックします。
尿道閉塞を起こし、おしっこがつまっていれば、膀胱からおしっこが出ていないため、過剰に膨らんでいることが予想されます。
一方の膀胱炎の場合は、膀胱におしっこが溜まる前におしっこをしてしまうため、膀胱は小さいと考えられます。
ここで厳重注意です。
飼い主さんであるあなた自身が、猫ちゃんのお腹を触って膀胱の大きさのチェックを絶対しないでください。
なぜならば、
尿道閉塞の場合、膀胱は水を入れすぎた水風船のように大きくなっており、膀胱の壁は異常に薄くかつもろくなっている可能性があるため、適切な方法で触らないと過剰な圧力がかかり、膀胱破裂を引き起こす危険があります。
膀胱破裂を引き起こすと、お腹をあけての手術が必要となってしまいますので、プロフェッショナルである当院の獣医師にお任せください。
次に行う検査として、レントゲンやエコーなどの画像検査を行います。
画像によって膀胱の大きさをチェックするだけでなく、その原因を追求する大切な検査となります。
また、尿道閉塞が疑われる場合は、血液検査を実施し腎臓を中心に内蔵の機能や障害の程度を評価していきます。
おしっこがとれれば、尿検査も合わせて行っていきます。
長くなってしまいましたが、
猫ちゃんを飼われている飼い主さんにはとても大切な内容になっています。
P.S.
猫ちゃんの頻尿として取り上げましたが、
わんちゃんでも共通する内容が多々あるため、わんちゃんでも頻尿やおしっこが出づらい様子があれば、すぐに当院までご相談ください。